野澤 美紀 Miki Nozawa
通信業界のスタートアップ企業に入社し、人事総務の立場で組織の土台作りに尽力。その後はリクルート代理店へと移り、求人媒体を通じた企業の採用広報や母集団形成を営業事務・制作の側面から多角的に支援する。採用の最前線で培った知見から、独自の「選ばれるための導線設計」を確立。現在はWebデザインとSNSマーケティングを軸に独立し、個人から中小企業まで、ブランディングと売上・採用の最大化を叶える伴走型支援を行っている。
野澤 篤 Atsushi Nozawa
大学を卒業した後、家業の経営に参画。その後、公務員へと転身し、教育行政や政策立案の現場で着実に経験を積む。コロナ禍の影響で苦境に立たされる地域店舗を目の当たりにし、行政の枠組みを超えたきめ細やかな個人支援を志して、妻と共に独立を決意。現在は、実店舗の集客最大化を叶える伴走型支援に注力している。
今回の「スクスク」では、WebデザインやSNSマーケティングを軸に専業主婦から独立、起業を果たし、母として、そして一人の経営者として力強く歩む野澤美紀さんと、その活動を献身的に支える夫・篤さんご夫妻にお話を伺いました。理想の母親像と自分自身のあり方の間で揺れ動きながらも、常に一歩前へと踏み出し続ける野澤さんが見据える「私らしい生き方」と、家族で育む子育てへの想いに迫ります。
「子どもの熱で面接に落ちる…」社会復帰を阻む壁と、“母親だから”という自己犠牲
大澤:日本社会はまだまだ、子育てをする時に女性が一旦社会を離れ、育児を担う割合が多い現状があります。自分のやりたいことと育児のジレンマに悩まれる方も多いと思うのですが、美紀さんが起業に至った背景をお伺いできますか?
野澤美紀さん(以下、美紀):今から約5年前、7年間専業主婦をしていた中で、自分の人生にすごく悩んだ経験があります。もともと仕事が好きで20代は忙しく働いていたのですが、結婚して子どもを持ち、生活スタイルが大きく変わりました。
働きたいけれど、子どもが小さいのでなかなか働ける環境がない。子どものため、夫のためという自己犠牲のようなところが多くて、「この先の人生で明るい未来が描けない」と思い悩んでいました。
本当に社会との接点がなくて、ほぼママコミュニティという狭い世界で生きていました。社会復帰はかなり勇気がいりましたね。いざパートに出ようと求人に応募しても、電話で「小さいお子さんがいらっしゃるんですね。突発的なお休みがありますよね」と言われ、断られてしまったこともありました。
子育てしながら働く女性は、社会から仕事となるとかなりネガティブに見られるんだなとショックを受けました。また、「小さい頃は自分で見た方がいいよ」という周囲からの言葉もあり、本当は社会復帰したいけれど、それは自分のエゴなのかなと罪悪感を持つこともありました。
大澤:理想の母親像と、自分のやりたいことの間で葛藤があったのですね。「自分のエゴなのかな」と罪悪感を抱えてしまうお母さんは本当に多いと思います。
美紀:はい。子どもたちは大好きなんですが、2歳差の男の子2人で、自分の時間が全くなく、子育てだけという環境はかなりストレスでした。「子どもたちと一回離れたい」と思った時もあったぐらいです。親からの教えや自然と植え付けられている「こうならなきゃいけない」という理想を追い求めた結果、自分で自分を苦しめ、心が疲弊してしまいました。
そこから、「自分らしく働く」「まず自分を大事にしよう」と気づき、突発的なお休みでも迷惑をかけない在宅ワークへと意識が向かっていきました。

「学ぶって楽しい!」大人になってからの自己投資と、夫への“絶対やる”宣言
大澤:そこから「起業」というチャレンジングな道を選ばれました。旦那さんである篤さんにはどのように相談されたのですか?
美紀:コロナ禍ということもあり、在宅でできるWebデザイナーという仕事を知りました。ただ、大人になってから何十万円もかけてオンラインスクールで学ぶというのは、かなり思い切ったことでした。専業主婦で稼いでいない自分が、夫の収入からスクール代を出してもらうことにすごく申し訳ない気持ちがあったんです。
だから、なんとか説得しようと「ノー」と言わせないぐらいプレゼンの用意をしていきました。そうしたら普通に「いいんじゃない」と(笑)。「ダメって言ってももう決めてるんでしょ?」と言われたので、「じゃあやらせてもらいます!」と始まりました。
野澤篤さん(以下、篤):当時はコロナ禍で世の中が大きく変わっていく時期でした。僕は公務員として固定の給料が入ってくることが分かっていたので、そこにプラスで上積みされていくなら、何をやってもチャレンジングでいいんじゃないかなと思っていました。妻からのプレゼンに対しても、「ダメって言っても絶対やるでしょ?(笑)」という感じでしたね。
美紀:それで「じゃあ、やらせてもらいます!(笑)」と始まりました。「私はこういうことがやりたくて、こうなるので応援してください」と宣言した方が自分も頑張れるし、逃れられない覚悟ができると思ったんです。
大人になってから「こうなりたい」とゴールを決めて、逆算して自分で組み立てて学んでいくのは、本当に楽しかったです。毎日のように夫に「こんなことができるようになった」と報告していました。
大澤:大人になると学ぶ機会はどんどん減っていきますよね。子どもには「勉強しろ」と言うのに。奥様が宣言して、旦那様が素直に応援する。当たり前のように家に尽くしてもらうのではなく、「自分の人生がまずある上で家族がある」というご夫婦のフラットな関係性がとても素敵です。




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