東山 昂平 Kohei Higashiyama
株式会社ストリートスマート Education事業部
小学校教諭一種/中学校教諭一種(社会)/高等学校教諭一種(地理歴史・公民)
今回のスクスクでは、ICT教育の推進のために、自治体や学校向けにGoogleの活用方法をご支援されている(株)ストリートスマートの東山さんにお話を伺いました。元教師というお立場から学校教育をご支援されておられます。全児童にタブレットが配布されており、学校側、先生側もますますICT教育に力を入れていくことになります。株式会社ストリートスマートの取り組みについてお聞きしましたので、ぜひご一読ください。
ICT教育を支援する「master study」
東山:
ストリートスマートは、Google の認定パートナーとして、自治体や学校向けに Google for Education™ の導入支援や活用支援を行っております。支援の一環として、先生に向けてICT活用研修なども実施させていただいております。
研修だけではサポートしきれない部分を、継続的にサポートする。また、先生一人ひとりがICT活用において次の一歩を踏み出し、自走するためのサポートをするサービスとして「master study(マスタースタディ)」を開発しました。master study は Google for Education を活用する先生方に向けたサービスとなります。
master study の目標は大きく2つ。
①ICTがはじめての先生をサポートする
②先生方の「あったらいいな」を実現する
その実現のため、 master study には「先生が学ぶ」「授業で使う」の2つのコンテンツをご用意しています。
「先生が学ぶ」編では、Google ツールの活用方法や運用保守の方法をお伝えする資料や動画を用意しています。例えば、ICT授業の始め方として、Google Classroom を使って授業を始める際に必要となるクラスの作成方法や課題の配布方法をご紹介しています。定期的に実施しているオンラインセミナーのアーカイブ動画も掲載しています。
「授業で使う」編では、授業テンプレートと Google for Education 解説動画をご用意しています。授業テンプレートは、Google Jamboard™ や Google フォームで実際に授業でそのまま使えるテンプレートをダウンロードできます。先生方が編集してお使いいただくこともできます。Google for Education 解説動画は、授業で流すだけで Chromebook™ を含めたデジタルツールの利用や注意点を、子ども達に向けて伝えることができます。
master study では「Freeプラン」と「基本契約プラン」をご用意しています。「Freeプラン」は無料で使うことができますので、気軽にお試しください。有料の「基本契約プラン」は、使えるテンプレートの数がぐっと増え、Chromebook などの使い方解説動画や過去のセミナー動画をすべて視聴することができます。Google for Education や大好評「できるシリーズ」の書籍に連動した動画コンテンツなどもたくさん準備しています。
このように、master study は、先生方にICT活動を進めていただけるようなサービスとなっています。
松原:なるほど、有難うございます。実際に教師として日々教鞭をとっている西田さん、こちらのサービスをお聞きになってどう思いますか?
西田:いまサービス画面を拝見してますが、たとえば保護者向け資料のテンプレートとかって本当に助かりますね。ある程度教師経験が長くなると、授業準備や授業そのものよりも子ども達の授業以外の対応や保護者対応に時間がとられることが多くあります。実はいま丁度そういった事がありまして、このような保護者向け資料のテンプレートがあるのはとても助かりますね、本当に痒い所に手が届くサービスになっていますね。
松原:学校は先生によってカスタマイズして学級運営をされていますし、まさにこういった業務効率化ツールが不足しているんだなということを改めて気付かされました。すごく良いサービスですね。「授業で使う」は教科書になぞらえた内容なんでしょうか?
東山:
はい、ありがとうございます。教科書に関しては、学校によって採択するものが違いますので、サービス開始当初は「使用している教科書に関わらず、共通して必要となる内容を用意しよう」と考えてサービスを作ってきました。しかし、先生の授業準備負担を軽減し、ICTの恩恵を授業で最大限活かしていただくためには、やはり教科書との連動が必要だと考えて、今は教科書会社様と連携させていただきながらコンテンツ開発を進めています。
入社に至った背景、教師をやめた理由
松原:東山さんは実際に教師をされていたんですよね?
東山:
はい、そうですね。大学受験の際に進路をどうしようかと考えていた時に、小学校6年生のときの担任の先生に「東山くんは先生に向いているよ」と言われたことをふと思い出しました。何気ない一言だったんですが、なぜかずっと覚えていました。学生時代は先生に恵まれていて、「先生」に対してネガティブな印象がなかったということもあり、教育大学に入学し、そのまま教育採用試験をうけて小学校の先生として働くことになりました。
松原:思い描いていた教師像との違いや苦悩などもあったりされたんですか?
東山:
授業をすることがとても好きで、自発的に教材や教具を作ったりしていました。それは、教育実習生の頃から「先生」の仕事で、授業や勉強など「教えること」が重要だと思っていたからです。
新任のころは自分のクラスだけみていれば良かったのですが、主任になると、自分のクラス以外の校務が増えてきて、自分のクラスの事を考えたり授業準備をしたりする時間がなくなっていきました。それにより悩んだり、思うように仕事の成果が出せず自己嫌悪状態になることもありました。
西田:3つ主任をやっていまして授業準備できる時の方が少ないです。授業準備ができなくて、もどかしさを感じていたことにとても共感します。転職したいと考えても、行動を起こせずに悩んでいる教師もいるかなと。東山さんはスパっと転職されたように見えるのですが、転職を悩まれたりしたのですか?
東山:
ストリートスマートと出会ったのは、実は教師になって2回目の転職活動でした。
教師になって3年目の時に、なかなか手ごわいクラスを担当することになり、自身の教師としての力量不足を感じ、教師を続けるのが辛いなと考えるようになりました。そのときに1回目の転職活動をしたのですが、自分のなかで転職活動自体がピンとこない状態でしたので、まずは自分の「イヤなこと」「本当にしたいこと」を整理する時間を設けました。
「自分は本当に最後までやり切ったのか?」と自問自答する中で、それができていないことに気づきました。そこで自分だけの力ではなく、周りの先生や保護者の皆さんにも協力してもらい、そのクラスを卒業まで受け持ちました。
卒業の翌年、学校を異動することになり、新しい学校で心機一転したことで、その後も教師をつづけました。5年ほど経ち、教師としての経験を重ねていくうちに様々な仕事を任されるようになり、教師として大事にしていた「教える」ことに時間をかけることができず、もどかしさを感じるようになっていました。そこで、教育現場から少し離れて、企業側から教育を変えることはできないかと考えるようになりました。学校や教師を外から支援しようと思った、ということです。
西田:私自身公立にしがみついている理由は中から変えられるところがまだあると思うからなんですが、中から変えられないものもある、もう無理かなと思ってしまうこともありますよね。すごく共感します。東山さんのような、現場をよく知る方が master study のコンテンツを開発をしているのは、学校現場としてはとても有難いことだと思います。
松原:なぜストリートスマートに入社されたんですか?
東山:
もともと教師をはじめた時から、教師以外の仕事にも興味があって色々と挑戦してみたいなと、常に自分のキャリアについて考えていました。そして、先ほどお伝えしたように「子どもと向き合うこと」に時間をかけられずにもどかしさを感じて、学校や教師を外から支援したいと考え始めた時に、コロナウイルス感染症の拡大やGIGAスクール構想の前倒しがありました。私は生徒指導主任やICT主任をしていたため、同僚である先生方に校内研修をすることが増えていきました。研修をした後に同僚から「良かった」という声を聞いたり、校内にICTが浸透していく様子を見たりすることに、やりがいや楽しさを感じるようになりました。
これを自分の仕事にしたいなと考えるようになっていたところ、まさに自分がやりたいことが実現できる「ストリートスマート」に出会い、入社のご縁をいただきました。
松原:ありがとうございます。では具体的に、教師をされている時にどのようなもどかしさや悩みがあったのでしょうか?
東山:
子ども達にとっての「選択の幅が狭い」と思うことがありました。日本的なというか、画一的な教育が当たり前で、子ども達が潜在的にもっているニーズに対応しきれないなと思っていました。本当は子ども達一人ひとりに合った指導をしてあげたいけど、放課後に会議や事務作業、授業準備、保護者対応など、様々な校務をしないといけないことに、もどかしさを感じていました。
松原:なるほど。master study を活用すると、先生たちの業務の効率化につながり、子ども達と向き合う時間が増えて個別最適な学びになる、ということですね?
東山:
はい、そうですね。master study をICT活用を進める「きっかけ」にしてほしいです。実際のICT活用は、学校やクラスの実態にあわせて進めてほしいと思っています。
先生は様々な校務のためにICTの勉強をしたり、活用方法を試行錯誤する時間があまりありません。トラブルが発生した際の解決方法もわからないため、「ICTを使いたくない」と思ってしまうこともあるんですよね。まずは master study でICTで実現できることや基本的な操作方法を知ってもらい、困ったときに調べていただくツールとして使っていただきながら、まずは少しずつでもICTツールを使っていただき、レベルアップをしてもらいたいなと思っています。
松原さんがおっしゃるように、先生の働き方が変わり、余裕をもって校務を進められるようになれば、子ども達に向き合う時間も増えるし、先生が余裕をもってやりたいことに取り組め、先生がより活き活きと働けるようになると思います。
西田:授業準備に「時間をかけることが良いこと」としている先生がまだまだ多いですよね。master study を使うことで、効率的に授業準備を進めて、先生の多忙化が少しでも解消されるといいなと思っています。
master study を広めることについて
松原:現実的に、学校は予算が厳しいですよね。笑 master study を広めるために、契約期間や金額などが気になるのですが、どのようになっているんでしょうか?
東山:
学校単位や自治体で申し込まなければいけないものではなく、個人で申し込んでいただけるようになっています。契約プランは、一部のコンテンツを気軽にお試しいただけるFreeプランと、全コンテンツやサービスをご利用いただける基本契約プランがあります。
基本契約プランの利用料金は、学校関係者や教育委員会の方は年間2,970円(税込)です。1年間どのコンテンツをどれだけ使っても、定額なので金額は一切変わりません。学校関係者・教育委員会の方以外は年間6,600円(税込)となっています。
松原:団体ではなく、個人なんですね。ん?年間2970円(税込)ですか?月額だと思ってました!すごくお安いですね!
西田:私も月額だと思ってました。笑 ICT支援のために学校に外部の方がサポートに入ってくれていますが、その方にいつでも聞けるわけではないので、自身で学べて授業で使えるコンテンツが入っていて、さらに授業以外の校務に関するコンテンツもあるなど、内容が多岐にわたっていて、とても良いサービスだなと思います。
東山:
学校のメールアドレスで登録する方もいれば、個人のメールアドレスで登録する方もいたりとそれぞれですね。
松原:さてそれでは最後に、教職を離れながらも、先生、子ども、学校を支える立場になられていますが、今後の教育にかける想いですとか、master study を通して実現したいことをお聞かせください。
東山:
ICTを活用して校務の効率化を進めることで、教師が学校現場でやりたいこと、時間をかけたいと思っていることに注力できるようになり、一人ひとりが活き活きと過ごせるような環境を作りたいと思っています。そして、活き活きとした先生方の姿を子ども達に見せたいです。子どもが身近に見る大人は先生なので、そういったキラキラしている先生を見て「先生っていい仕事だな」「先生になりたい!」と思ってくれる子どもが増えてくれると嬉しいですね。
明日の授業で使える
先生のための総合プラットフォーム
「忙しくて、ICT授業の準備に時間を割けない」
そんな先生の声から、master study は生まれました。
まずは無料でお試しください。
※Google for Education、Google Jamboard、および Chromebook は、Google LLC の商標です。
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