子どもの未来を組み立てる
松原:
第二子の誕生を翌週に控えていらっしゃる板羽さん。ご自身の「教育観」を教えてください。
板羽:
まず、教育事業は『非常に面白い』と感じています。
もともと「多くの人がリアルで毎日利用してくれるサービスに携わり、人々の豊かな暮らしに貢献したい」との想いがあり、鉄道会社に就職しました。
駅がきれいになったり新しく店舗ができると、友人から喜びの連絡が来たりしますし、多くのお客様にもご満足いただけるような仕事ができていたと思います。
教育は、鉄道事業に比べたら関われるお客様の数は圧倒的に少ないですが、一方で圧倒的に深く、その生徒の人生に関わることができます。
私は、当社が行う教育事業は、子どもたちにとって本当にいいものだと胸を張って言えますし、そしてその教育を広める仕事ができていることを誇りに思っています。教室の先生たちも、本当に子どもたちが好きで、子どもたちのためになることならと、いつも一生懸命授業をしてくれています。
私たちは「組み立てるのは、君の未来。」というキャッチコピーを使っています。ロボットを組み立て、プログラミングの作り方を教えているように見えて、本当は『子どもたちが自分の未来を自分で切り開くお手伝いをしている』と思っています。
「プログラミング」を教えているというよりも、「人生で財産になる考え方や姿勢」を教えています。
そして、私の教育観ですが、「子ども達には、どんなものでもよいので、『夢中になれるもの』を見つけて欲しい」と思っています。
その夢中になれるものが算数だったり、理科のような学校に存在する科目だと保護者も喜び、安心するかもしれないですが、蛇でも車でも料理でもなんでもいいと思っています。夢中になって、それをつきつめて自分で勉強して欲しいです。
最近読んだ本のなかに『楽しく学ぶのではない、楽しさの中に学びが溢れている』という言葉があって素敵だなと思ったのですが、「学んでいる」という感覚すらなく「楽しんでいる」の境地まで行けば、誰もかなわないですね。
孔子の言葉でも「才ある者は、努力する者に勝てず、努力する者は、楽しむ者に勝てず」というものがあります。
近い未来、多くの仕事がAIに代替されることが予想されています。「皆ができることだけできる」ということの価値が減り、「あの人にしかできない」ことの価値がより一層高まりそうです。それは、夢中なものを探求した成果はもちろんのこと、夢中なことを学ぶ過程で得たものこそが、誰にも奪われない、その子だけのスキルになると考えています。
特に都心だと中学受験が盛んでつい勉強に関係ないものは優先順位が下げられてしまいますし、それは仕方ない面もあると思いますが、子どもの夢中を応援する余裕がある、そんな世の中であってほしいなと感じています。
また、知識量と思考力がよく対になって語られます。詰め込み型教育への反動からゆとり世代が生まれました。なんでも検索できる世の中だから、知識よりも思考を重視しようという流れですね。意図は理解していますが、極端な思考力偏重には、反対です。なんでもすぐ調べられる現代においても、両方必要だと考えるからです。
たとえば「二度の世界大戦」を知らない人が「平和」を語れないように、思考力がすごくても知識がなければ思考すらできないからです。
最後に、子どもたちには、小中高時代に知識を身に着け、思考力を磨く過程で「自分に合う勉強のスタイル」を確立して欲しいと考えています。コツコツ型なのか、追い込み型なのか。黙読派なのか、音読派なのか。朝型か、夜型か。現代の人生100年時代においては、大人になってからの勉強が不可欠です。いい大学を出ればそれで終わりではなく、知識と思考を常にアップデートしていかなければなりません。働きながら短時間で効率的に勉強するために、どのハウツー本にも載っていない、自分に合う勉強のスタイルを得ておくことが今後の人生でも財産になると思います。
「子どもの教育」に携わる私としては、保護者が楽しんで学んでいる姿を子どもに見せることで、子どもも自然に好きなことを探し・学ぶようになり、家族で楽しく学べる環境ができると素敵だな、と思います。
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