【キャリア】好きなことを仕事にし、未来を創る

子どもの変化が大人スイッチ

小林さん:
とはいえ、ダンスのインストラクターをやりながらも実は子どもたちへの指導は苦手でした。ダンサーとして一線でやってきた自負やブランド力もあったと思うのですが、自分の教え方だとうまく子どもたちを指導できなかったんです。

子どもも好き、でもダンスも自分の指導レベルを下げたくない、というジレンマがありましたね。

そこで、しっかりと指導方法を学ぼうと考えるようになり、日本親子体操協会に指導方法を学びにいくことにしたんです。そこでは、体操だけでなく体の仕組みや心理学、行動心理学からマタニティなどことまで幅広く学ぶことができました。

また、ちょうど東京五輪の体操普及の時期とも重なったので、0歳~100歳までの生徒さんを指導できたこともあり、今となっては指導の幅や怪我の対処方法、ヨガ、ピラティスなどへの動き方にも大いに活かされています。

武蔵野銀行主催「笑顔はつらつ!健康体操教室」の様子。スポーツの秋!レッツダンス~♪

そうした知識を踏まえてちゃんと指導すると、子どもがものすごく食いつくようになったんです。

それが教育や子育てへのスイッチがはいったきっかけだったと思います。

子どもたちが新しいことができるようになると、親御さんもとても喜んでくれるんですね。今まで見たことない表情をしているとか、内向的だった子がダンスをやったらとても明るくなった、とか。そういう親御さんのお声が多くなったというのは、指導法を学んだからこそだと思います。

おかげで、小学校の外部指導者としてもお声がけいただきましたが、先生方からもとても評判良くて。普段体育を見ている先生からも、子どもたちの見違える姿をみえてびっくりしたといっていただけました。その後その先生からは個人的に連絡をいただき、娘さんを私の教室で習わせたいと言っていただけたんですね。学校教育にずっと携わりたかった身としてこれは本当にうれしかったです。

小学校ボランティアでの絵本の読み聞かせの様子

経済活動と社会貢献の両立

大澤:
素敵ですね!やはり子どもが成長する姿は大きな原動力になります。先生方も今まではすべてを一人で教えている時代でしたが、これからはコーディネーターとして、そうした地域にいる方々をつないでいく役割も重要になってくるでしょうね。

小林さん:
そうですね。地域で連携しあいながら子育てしていくのはとても大切です。思春期とかは特にそうですが、親だけでなく周りの大人たちがもっと関わっていくのが大事だと思います。

大澤:
ところで、小林さんは子どもたちの好きを大切にしていくという大きな理念をお持ちですが、どういったきっかでそう思うようになったのでしょうか。

小林さん:
自分自身は好きなことを仕事にしていくというのは昔から決めていたのですが、それと同時に自分から動いて世の中に影響力を与えたいとも思っていました。そうした思いからダンス指導などさまざまな活動をしていくうちに、自分の理念は「夢を育む」ということなのかなと言語化できるようになったんです。

好きやワクワクを源泉に思わず動き出してしまうようなこと。

そういうことを仕事にしていけたら素晴らしいなと思っています。少し大げさですが、昔も今もそしてこれからも、我々は資本主義社会の中で生きていかなければなりません。経済が必ずしもうまく回っていないかもしれませんが、自分の好きで市場(マーケット)を生み出す仕組みづくりに挑戦していきたいと思っていますし、誰もがそういうことができる世の中にしたい。

好きと経済をつなげる、という感じでしょうか。

最近、会社を経営して売上や利益があがったとき、その利益とはいったい何なんだろうか、とふと思うようになったんです。

で、いろいろ考えた結果、もちろん社員に分配するのも素晴らしいのですが、世の中のためにはそれだけではダメだと思ったんです。そうなると、地球環境の維持、改善はもちろん、日本の子どもの出生率、女性の社会進出などの社会課題を解決することにもチャレンジしていくことが、利益の使い方として必要なことなのではないかと思います。

特に、女性の社会進出については、自分の会社を通しても子育て支援の場をどんどん作っていければと思っていますし、社員教育も今はそういった領域にフォーカスしています。

大澤:
渋沢栄一も道徳と経済の合一を説きましたが、小林さんはそれにも通ずる素晴らしい理念をお持ちだなと思いました。

育児しやすい社会・仕組みづくり

大澤:
話はすこし変わりますが、そんな小林さんが子どもたちと接するときに大切にされていることはありますか?

小林さん:
教育理念と呼べるようなかっこいいものはありませんが、「子どもが発言したことを素直に受け止める」ようにしています。

子どもの突拍子もない発言も一旦は受け止める。わからないときは、子どもに発言の意図を深堀することもありますね。そういう対話をしていくなかで、子どもたちの感情が動く瞬間があって、それを大切にしたいなと思っています。

そのためには心とか生活に余裕がないといけないのですが、今は夫婦共働きの家庭も多く、ママさんも忙しいことが多い。

だから、自分の会社ではそうした働く人の余白づくりみたいなことにも取り組んでいきたいと思っています。新しい取り組みをすれば反対意見や批判もあると思いますけど、やはり自分としては使命感をもってやっていかないといけないなと思います。

ママさんが子ども預けて遊びに行くのも、人によっては責任感が無いという人もいるかもしれませんが、どんな人にも自分の時間は大切です。近所同士の支えあいなど、もっと子育てをみんなでやれる社会になるといいと思います。

大人が余裕を持てることで、子どもの個性に蓋をしなくてすみます。子どもが無邪気でいられるには、やはり大人自身の余裕がとても大切です。

未来への展望と社会貢献

大澤:
最後に、小林さんの今後の活動の展望を教えて頂けますか?

小林さん:
いろいろなことに挑戦していきたいのですが、特にやりたいのは先ほどもお伝えしたような女性の社会進出と、それによる夫婦の新しい形づくりです。新しい形というのは言葉にしづらいのですが、家族が小さな経済ユニットになって、他の家族、コミュニティと連携しあいながら自走していくようなことをイメージしています。

子育てというのは本当にすごいことで、もっとリスペクトされることだと思います。

だから、子育てを経験された方がもっと社会から認められて、それによって新たな雇用をされたり社会の中心で活躍されるような仕組みづくりをしていきたいですね。自社としてはそこにベーシックインカムを導入させるところまでも検討していきたいと思ってます。

大澤:
育業という言葉も使われますが、子育ては本当にすごいことですよね。企業としても手当などはありますが、ベーシックインカムのような発想が入るのはとても新鮮です。

小林さん:
人口減少や環境破壊などさまざまな問題も、資本主義社会の中で行き過ぎた利益追求した結果という見方もあると思います。サステナビリティというとどこか縁遠い言葉のように感じますが、子育て、家庭、という小さな経済の単位が持続する仕組みから、日本をもっと元気にしていきたいですね。

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大沢 彰裕
(株)weclip 共同代表。(株)日立製作所の鉄道部門でセールスやコンサルティングに従事する傍ら、教育支援会社であるweclipを創業。プランナーとして、スクスクのメディア運営など教育支援事業に従事。1児の父。