【進路相談サービス】子ども達の可能性を拓く

株式会社すみか月館海斗さん
株式会社すみか月館海斗さん

月館 海斗  Kaito Tsukidate
株式会社すみか CEO

今回のスクスクでは、中高生向けオンライン進路相談サービス「canau(かなう)」を展開される(株)すみかの代表取締役月館さんにインタビューを実施しました。月館さんの抱く教育観や今後の事業展望について伺いました。

中高校生向けオンライン進路相談サービス「canau(かなう)」

松原:まずは「canau(かなう)」についてサービス概要を教えてください。

月館:
「canau(かなう)」は、オンライン進路相談サービスで、特長は『中高生と企業を個人レベルでつなぐ』という点です。

キャリア教育の一環で講演会がありますが、講演会スタイルですと世間一般的に成功されている方やキラキラしている方など自己肯定感が高い方がいらっしゃることが多くて、悪いことも言うんですが最後には必ず成功体験で終わります。一つのサクセスストーリーとしては良いと思いますが、実際は社会に出るとそんな良いことばかりではないですし、酸いも甘いも包み隠さず学生に生の声を届けてほしいと思って「人」にフォーカスを当てたサービスをつくりたいと思いました。

無限の可能性を秘めた学生たちに「想像以上の自分」に出会う機会をつくってあげたいという想いがありまして、『リアルな大人と出会う機会を提供すること』でそれを達成したいと思っています。また、高校生は圧倒的に「キャリア教育」が不足していることからこれをどうにか解決したいという想いがありまして、「canau(かなう)」を作りました。

会社は2022年1月に立ち上げたばかりですが、有難いことに、札幌市主催リードエンジニア発掘・育成事業に採択していただいたり、経済産業省委託事業の「Edvation Open Lab」にも採択していただき、現在進行形でサービスをブラッシュアップしているところです。

オンライン進路相談サービス「canau(かなう)

松原:高校教師をされていたからこそ見える課題だったんですね。確かに思い返すと高校生は社会の接点が少ないですね。

月館:
そうなんです。小中学校は職業体験や工場見学などがありますし、十分ではないかもしれませんがキャリア教育の機会はあります。また、大学生になるとアルバイトやインターンなどで学外と接する機会が増えていくんですが、実は高校生が狭間で、学外との接点がパタッとなくなるんです。本来であれば、高校生にもなると将来の生き方を考えなければいけない時期なのに進学のための学業や部活動が中心で学外と接する機会がとても不足しています。

高校生になると急に学外との接点が減る

高校の先生をやりながら問題だなと強く感じていたことは、高校生の進路相談相手が「先生か保護者」しかいないことです。相談相手が悪いということではなく、職業が多様化しているなかで先生と保護者だけでは適切に高校生の進路相談に乗ることが難しいということです。

たとえば「エンジニアになりたい」という夢を持つ子どもが親に相談したとして、親がエンジニア関係の職に就いていなかったとしたら、子どもを適切に導いてあげることが出来ないですし、それこそ「エンジニアは常に勉強をしないといけなくて難しい世界だからあなたには向いてないから別の道を探した方がいいんじゃない?」といったように、子どもの夢を否定することもあるかもしれません。

残念なことに「高校生の2人に1人が進路先を否定されたことがある」という統計結果も出ていて、そういった「やりたいことを否定された若者」は「自分の力では国や社会を変えられない」とネガティブな考えを抱くことにつながっています。世の中を変えられる、貢献できると思う子たちが、クラスで考えると30人中8人しかいないということになります。それは悲しいことだなと思いました。

教師をやっていたときの実体験となりますが、ある生徒から「女優になりたい」という相談を受けました。私自身そういうことに関しては疎かったのですが、運良く芸能関係の知り合いがいましたので、その方に直接相談を受けていただくことが出来まして、結果、その生徒は芸能プロダクションに所属することが出来て夢を追いかけることが出来ました。そのときに実感したのが、自分一人で子どもの進路相談を受けとめることの怖さでした。

一方で、この生徒の場合は具体的に「女優になりたい」と言ってくれたので相談相手を見つけて繋ぐことが出来ましたが、そもそも具体的に夢を持っていない生徒が大半なんです。なりたい職業ランキングで1位が公務員、2位が会社員という統計データも出ています。職業のことを深く知らないからそう答えざるを得ないということだと思います。

そんな子ども達の可能性を拓くために、たくさんの大人たちに進路相談が出来る場所を作りたいと思いましてオンライン進路相談サービス「canau(かなう)」を立ち上げました。

オンライン進路相談サービス「canau」

松原:なるほど。しかし、なりたい職業ランキングの1位と2位がかなり漠然としてますね。

月館:
子ども達は、「これ」という職業が見つからないということですよね。

いまは就活は売り手市場ですから学生たちが有利な状況です。先に挙げたように、学生たちは具体的に将来を描いているわけではないので「名前を知っている企業」にエントリーシートを提出したりインターンに行ったりする、という傾向が往々にしてあります。採用手法もマンネリ化してきていますし、結局のところ、中小企業は大手企業の圧倒的なネームバリューに勝てず、中小企業は自分たちのことを学生に知らせることが出来ません。

そういった状況ですので、進路相談を受ける企業側は、ぜひ学生たちに会社のことをPRしてもらいたいと思っています。PRだけではなく、ほかにも企業側にメリットがあるプラットフォームもあるんです。

実は、ある統計データでは、自分の仕事に誇りを持っていると答えた人は40%で、誇りに思わないと答えた人は60%にも及びます。素敵な大人はたくさんいますが、仕事場でキラキラ輝く大人はそれほど多くないんです。

学生たちにPRするために、自身のことや会社のことを深く追求して棚卸しをすると、自身がやっている仕事がどれだけ社会に役立つ仕事をしているかということに気付くことがあったりして、単純に「今以上にその仕事が好きになる」という効果も期待できます。

松原:具体的にどういうことでしょうか?

月館:
はい、実は進路相談を受けていただく方には、『価値観引き出し研修』『コーチング・ファシリ研修』を受けていただくことになっていまして、社員の方々に内省を促す機会を設けることが出来ますし、帰属意識を高める効果が期待できます。

さらに、企業視点でみますと、CSRにもなりますので企業価値を高めることにつながりますし、学生(顧客)と接することによって新規ファンの獲得なども期待できます。企業の皆様には研修の位置づけとしてご利用いただいております。

進路相談を切り口に企業価値を高める

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松原 吉輝
(株)weclip共同代表。2児の父で教育に深い関心がある。2016年9月にGIVE&GIVE(株)を設立し、EC運営代行、ECコンサルティングサービスを軸に事業を展開する。また2021年に新規事業開発・事業プランニングを専門で行う会社(株)HItoHIを設立。