【進路相談サービス】子ども達の可能性を拓く

株式会社すみか月館海斗さん
株式会社すみか月館海斗さん

「挑戦すること」「楽しむこと」で前向きに生きる

松原:なるほど、ありがとうございます。さて、話は変わりまして、高校教師だった方が起業することは珍しいと思うんですが、もともと起業の意思はあったんでしょうか。

月館:
具体的に起業したいという考えはなかったんですが、「挑戦し続ける」ということは大切にしてきましたし、生徒にもその大切さを伝えてきました。先生を辞めて企業勤めをしたあとに、自分にとってチャレンジにあたる起業を選んだという形です。

松原:挑戦することの大切さはいつ得たんでしょうか?

月館:
小学生の頃からずっとサッカーをやってまして、途中からJリーグ「コンサドーレ札幌」の下部組織に18歳までいました。その中で、プロ意識にも触れましたし、サッカーが上手な人が多かったのでなかなかレギュラーになるのも難しい環境でした。サッカーを辞めたいと思うほどの様々な葛藤がありましたが、そこで得た経験は今も私の糧になっています。

自分の中で大きな挫折を経験したのは丁度この時期でした。高校3年の頃にレギュラーになれて全国大会で準優勝をすることが出来たんですが、そのときのレギュラーメンバーのうち私を除いた11名中10名がプロサッカー選手になっています。私はプロになれなくてサッカーを辞める決断をしました。子どもの頃から磨き上げたものが失われてしまって、何かに打ち込んでもなかなか身が入らない日が続きました。

サッカー_株式会社すみか月館海斗さん
上段の右から3番目が月館さん

そんなときにふとフルマラソンに出ようと思い至って参加することにしました。ずっとサッカーをやってきたので自信がありましたがまったくダメでした(笑)。10キロ走った時点できつくなってきて、おじいちゃんには抜かれますし、ピコ太朗の格好をして踊りながら走ってる人にも抜かれまして、完走タイムは5時間30分でした。

「サッカーでもダメだったし、自信をもってエントリーしたマラソンも大して走れないし、本当にダメなやつだ」と結果が出せない自分に悔やんでいたんですが、応援しに来てくれた友人達が「感動した!」「すごいよ!」といって自分自身の存在を認めてくれたんです。

そのときにハッとしました。成果ばかりに気を取られて、なにか劣等感のような喪失感のようなものを抱えていたんですが、私自身が納得する結果が出なくても、何かに挑戦する姿を見せるだけでも人に感動を与えることも出来るんだと知って新たな価値観・人生観が得られた瞬間でした。

また、悩んでいたその頃、色々な本を読み漁って『嫌われる勇気』に出会えたことも私にとって大きなターニングポイントとなりました。「あなたはいつでも、何にでもなれる」という一節がありまして、いまでも大切にしている言葉です。

高校の先生を辞めて一般企業に勤めていたときに、「自分の人生はこれで良いのか」と違和感を覚えていました。子ども達に挑戦することの大切さを説いていたのに、自分自身が挑戦しなくて良いのか、と思い至ってそこで起業することを決めました。

松原:一般企業に勤めた後、もう一度先生に戻る、という選択肢はなかったんですか?

月館:
正直、少し悩みました。起業に至るまで「先生のほうが面白い」「先生の方が自分に向いてるかもしれない」と思ったんですが、でもそれは10を100にするような感覚ですし、その選択は私自身の挑戦じゃないと思ったんです。思い返すと、大学生のときになんとなく起業をしてみたい、学生起業家ってかっこいいなーと思ったりしたこともあってそれが心残りでもありました。

あと、私の好きな考え方で『人生楽しんだもん勝ち』というものもあります。自分自身がより楽しめる、ワクワクできる道を選択した結果、起業に至りました。

学校の中にサードプレイスを創る

松原:ご自身の行動で教え子たちに人生を伝えてるんですね。さて、では最後にcanauの今後の展望を教えていただけますでしょうか。

月館:
はい、有難うございます。

中高生は基本的には勉強か部活が中心でそれ以外の「居場所」が学校にはありません。もっと居心地が良い学校を外部からつくってあげたいという想いから『学校の中にサードプレイスを創る』というビジョンを掲げています。それを実現するための1つ目のサービスとして「canau」つくりました。他のサービスも検討していますが、いかに学校に対してサービスを提供できるかを考えています。

学校を外部から見ている方からすると、学校そのものや学校教育を否定しがちですし、実際にそういったメディアも多いと思います。でも忘れてはいけないことが、ほとんどの子ども達はその大半を学校で過ごしているということです。

だから、私は「学校の中」にこだわっています。学校に様々楽しく価値のある居場所をつくることが、多くの子ども達を幸せにすることに繋がると思っているからです。目先の目標としては、3年後に「canau(かなう)」を100校へ導入し、参画企業100社を目指しています。当たり前のように子ども達が大人と話せる機会・場所を創ることを目指しています。

一方、そうは言っても悩ましいこともあります。「教育」は学校と外部でうまく連携してやっていくべきだと思っていますが、得てして教育は「理想」を語りがちで、ビジネスは「実利」を求めています。その歯車をうまくかみ合わせて動かさないといけないのですが、様々な障壁があってなかなか難しいなと思っています。

ぜひ、当社の理念に共感していただける方がいらっしゃいましたらお力をお借りして、子ども達のサードプレイスづくりにご協力いただければと思っています。

マラソン_株式会社すみか月館海斗さん

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ABOUT US
松原 吉輝
(株)weclip共同代表。2児の父で教育に深い関心がある。2016年9月にGIVE&GIVE(株)を設立し、EC運営代行、ECコンサルティングサービスを軸に事業を展開する。また2021年に新規事業開発・事業プランニングを専門で行う会社(株)HItoHIを設立。