【LGBTQ+】自分にできることからSDGsを考える

アイデンティティやマイノリティに悲しむ子は自分で最後にしたい

大沢:
公表した際、学校の友人からはどんなリアクションだったのですか。


島袋:
沖縄の人は、県民性なのか元々「ちゃんぷるー文化(※3)」があるおかげなのか、割とLGBTQ+について寛容だと肌感で感じていたんですね。だから、同級生や先輩からはほとんど何も言われなったです。ただ、母からは反対されました。もちろん親心からで、私を守りたかったんだと思います。現状、日本では同性同士は結婚もできないですしね。

その時の親心はもちろんわかるのですが、「親に反対された」という事実が本当に悲しかった。今でも母は快く思っていないんです。でも、それはまだまだ社会的に困難があることを心配して、私が傷ついたり、苦しまないよう反対してくれていると思っています。一方で、私も母が反対するのは、親心ゆえだというのもわかる。私自身も母を苦しめていますが、子は子で自分らしく生きたい。どちらも互いを思うからこその行動なのに、互いを苦しめてしまっている。私は、私たちのような親子関係を自分の代で最後にしたいですし、同じようなことを起こしたくないという強い思いがあります。

大沢:
自分は間違ったことをしていないと胸を張って言える。そうした自信を持てるのはとても凄いことです。

島袋:
バイセクシュアルを公表した時に、2〜3ヶ月で30人以上から「とても励みになった、勇気をもらった」という声を頂けたんですね。あわせて、ありがたいことにSDGs同好会も卒業までにそれなりの成果を出すことができた。

こうした経験から、SDGs、社会問題へチャレンジして生きていきたい、思うようになったんです。そして、沖縄県では知事のデニー玉城さんにもお会いできて自分の想いは伝えられたので、「次は日本全国だ!」という気持ちでしたね。

大沢:
SDGsのように先の未来に向かって挑戦するというのは、モチベーションを維持するのが難しかったりしないのですか。

島袋:
小さい頃から、人がとにかく好きなんですよ。だから、そんな大好きな人たちと何十年後も楽しく過ごしたい。そのためには世界が平和である必要があるので、夢は世界平和。稼ぎたい、お金持ちになりたいとかではなく、みんなと楽しく平和に、幸せに過ごしたいというが、まず第一なんです。とはいえ、こうした自分の思いに気づいたのは最近なんですけどね。

ちゃんぷるー文化(※3)
沖縄は琉球王国時代から、中国や東南アジアなどの影響を受け、戦後にはアメリカの文化も身近になった。こうした様々な国の文化を取り入れて独自に生み出した沖縄の文化の呼称。

自分にもできることはある、だから行動する

大沢:
活動を日本全国に拡大してからは、どんなことを始めたのですか。

島袋:
オンラインで参加しているコミュニティで講話したことをきっかけに、LGBT+のことを話す機会をいただき講演やセミナーの講師をするようになったんです。それから、自分でも何かをしたいなと思い、「日本全国47都道府県一斉ゴミ拾い」を企画しました。去年の3月17日のSDGsの日に各地でゴミ拾いをして、その様子を動画で集めて一本の動画にしたんです。結果、47都道府県+4カ国から総勢300名くらいが参加してくれました。

人は動けば何でもできるんだな、ということを再確認しましたし、何より自分の作った空間で人が繋がっていくのがとても嬉しかったんです。イベントに参加してくれた方の中には、自らゴミ拾いイベントを主催してくれる人も出てきてくれました。

全国から累計150名を動員、地球を好きになってもらうキャンプ「ミラキャン」をしながら、日本一周をした際の沖縄会場の様子

大沢:
活動が数珠繋ぎで広がるのは、みことさんの行動力に皆動かされているんだと思います

島袋:
ありがたいことに、バイトをしていたマクドナルドでも講演の機会をいただきました。マクドナルドには、廃棄問題なども含めてこの目で見てみたいという思いと、そのホスピタリティを通してコミュニケーションスキルも磨けるのではと思って働いていました。

そんななか、マクドナルドのフランチャイジーである株式会社豊昇さんのダイバーシティインクルージョンプログラムの中で、セミナーの講師をすることになったんです。私が環境活動などをしていることがバイト先で広がり、豊昇さんの幹部の方から多様性に関して是非講師として講演会をしてくれないか、と声をかけていただきました。

この経験から、学力も経営の知識もない自分でも、得意なことを活かせばできることはあるんだなと学べました。一人の学生が、企業の社長と会える機会なんて滅多にない。それでも、バイト先のいち従業員として、自分の得意なことを喋っていたことが、巡り巡ってこうした機会に繋がったのは、とても夢があることだと思います。

株式会社豊昇社員に向けての講演の様子

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大沢 彰裕
(株)weclip 共同代表。(株)日立製作所の鉄道部門でセールスやコンサルティングに従事する傍ら、教育支援会社であるweclipを創業。プランナーとして、スクスクのメディア運営など教育支援事業に従事。1児の父。