【キャリア】夢を追い続ける力を育む 〜私自身が最大の教育環境〜

子供にとって最大の教育環境は教師自身

大沢:
教師という仕事だけではなく他の仕事もやりながらキャリアを形成されていますが、将来はどんなキャリアを目指していこうと考えているのですか。

辰野:
これからのキャリアは正直自分でも来年どうなってるかわからないんです。でも、自分の中での夢は諦めていないなくて、アメリカでしっかり勉強して自己研鑽したい。特に今はSDGsなどをテーマを通して自分自身の力を磨いていきたいと思っています。

私の中での1番の大目的は子どもたちへの教育のためです。子どもたちは本当に未来の宝で、子どもたちを育てなければ未来はないと思っています。

「アメリカに行って勉強がしたい」という夢と今のコロナ禍の現状や現場教育・地元貢献を天秤にかけた時、今は日本でやるべきことがあるのかなと思ってやっていますが、タイミングが合えばアメリカに行ってしっかり勉強したいです。

私は先生として自分の背中で見せていきたいと思っていて、先生も夢をもって日々勉強しているよということを伝えたい。教えることだけが教師じゃないと思っています。子どもたちが「先生も夢をもって進んでいるんだから、私もがんばろう!」と思ってくれたら嬉しいなと思います。

大沢:
先生に求められる役割も変わってきていますよね。黒板で教鞭を取ることから、伴走やサポートと例えられることも増えました。

辰野:
私の中で大事にしている言葉があります。それは、「子どもにとっての最大の教育環境は教師自身である」という言葉です。

どうしても学校は担任の先生が中心になってしまいがちです。ですので、先生自身が学び続け子どもたちを中心に考え続けていかないと、子どもたちにとっては良くない環境になってしまいます。よく「担任で決まる」とか言われますが、まさにその通りですね。

だからこそ、この言葉をしっかり胸に留めて取り組んでいます。

夢を追い続けてほしい

大沢:
素晴らしい先生は沢山いらっしゃいますが、全ての人がそうなれるわけでもありません。特に公立ですと先生(=環境)を選べないので、保護者からすると単純に私立に行かせようという思考にもなりがちです。

辰野:
もちろん全員じゃないですが、日本の子どもって夢を持てない子が多いんです。

だから私は意識的に子どもたちの前でも自分の夢を口に出すようにしています。「先生アメリカ行って勉強してくるから!」って。叶えられるかどうかは置いておいて、夢を持ってほしいんです。夢があれば目標も立てられて、環境を超えて突き進む力になります。私自身もそれを自分自身で示したい、という感じですね。

ちょうど今年の3月にはネパールに行き、ブルーベリーの木を2,100本植えてきたんですよ。私の農園に来たネパール人の青年がブルーベリーを食べて、「これは美味しいので、是非自分の国でもやりたい!」と言ってくれてやりました。

私自身もネパールをはじめ発展途上国にできることはないかと常に思ってたので、よしやるか!ということで行ってきました。

ネパールで日本から持参したブルーベリーの苗木を2,100本植樹

ただ、手続きなどは本当に大変で…。外務省や厚生労働省、大使館、税関、検疫所とやり取りが必要で、書類の不備があると夜中にFAXで送り直したり、様々なところへ電話をかけたりもしました。ただ、まわりからそれできるの?と言われると逆にやってやろう!と思う質なんですよね。そういった状況下でチャレンジして見えてきた景色のなかで、自分にできることを最大限やり続けている感じです。

教育を通じて子どもたちに伝えたいこと

大沢:
挑戦し続ける辰野さんの姿はとてもかっこいいですし、大人の我々にもそうした挑戦し続ける姿勢が必要ですね。さて、最後にお伺いさせてください。辰野さんは教育を通じてどんなことを子どもたちに伝えていきたいですか。

辰野:
まず、目の前の人や出会いを大切にしてほしいと思います。何かの始まりはそうした小さなきっかけですから。そして、その次にぜひ視野を広げてほしいですね。日本の教育制度のなかでは、先生も子どもたちもどうしても視野が狭くなってしまいがちです。

例えば、性教育についてもなぜ隠すんだろうと。悪いことではないし人間とって性はとても大切なことのはずなのに日本の教育では積極的に触れようとしない傾向があります。海外の方が学校で性のことに正面から触れますし、子どもたちの将来を考えたらもっとオープンにした方がむしろ安全なのではと私は思います。

ルールが多すぎると感じるからこそ、子どもたちには視野を広げて欲しいし私自身そういう環境を現場から作り続けたいですね。

私も先日ネパールに行った際に、子どもたちからも「先生3月なのになんで海外行けるの?」とか「コロナでも海外行けるんだ?」とか言われました。子どもたちも先生がこんな時期、こんな状況で行けるの?という常識をもっています。

ネパールの盲・聾学校へ訪問(前列右から2番目が辰野さん)

子どもたちには「先生もこういう働き方(時間講師)をして知ったんだけど、いろんな道があるからね、みんなひとつじゃないから。自分がやりたいことを一生懸命やれば、こんな風にやれる道があるんだって見つかるから。だから、自分が大きな夢を抱いて向かっていけば、絶対道が開ける!だから先生も行ってきます!」って感じですね。

実際に行ってきた様子や動画をPPTにまとめて子どもたちにも見せました。日本とネパールの意外と知られていない繋がりもあって、例えば日本のお札は実はネパール産なんですよね。現地の人に教えてもらい私もびっくりしました。

そうした教科書だけでは学べない”生の教育”をこれからもしていきたいですね。

未来をつくっていくのは私たち大人自身の責務だと思いますので、政治家や他人に文句を言うばかりではなく自分自身で行動し続けていきたいと思います。

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大沢 彰裕
(株)weclip 共同代表。(株)日立製作所の鉄道部門でセールスやコンサルティングに従事する傍ら、教育支援会社であるweclipを創業。プランナーとして、スクスクのメディア運営など教育支援事業に従事。1児の父。